俺は、結構霊感がある方だと思う。
というか、幽霊がはっきり見えちゃうし話も出来ちゃうんだよね。
ある日、俺は道ばたを歩いていたら、
首にロープを巻いた女の子が寂しそうにこちらを見つめているのに気がついた。
明らかに生身の人間じゃなくて、でも死霊でもない。
俺は、その娘に話しかけてみた。
「君、生霊だよね。駄目じゃない、身体から離れたりしたら。」
「うわあ、お兄ちゃん、私が見えるの!?」
久々の会話で、女の子は嬉しそうだった。
どうやら、彼女はずっとこの付近を彷徨っていたらしい。
肉体から離れて随分経ってるみたいだ。
今まで俺が見てきた生霊の中でも、この娘はかなり死霊に近い。
早く肉体に戻らないと生命に関わるだろう。
女の子は、しかし悲しそうに自分の首のロープを持ち上げて、答えた。
「ううん、戻れないの。私、首吊って自殺して……もう肉体は手遅れなんだって。」
「う〜ん、参ったな。悪いけど、じゃあ僕にはどうしようもないよ。そのうち君の肉体が死んで死霊になると思うから、その時はちゃんと成仏して、生まれ変わったら絶対に自殺しちゃ駄目だよ。」
「無理だよ。」
女の子は、自分の首に巻かれたロープを見つめて、呟いた。
「だって、私天国いけないもん。自殺、しちゃったから……。嫌だよ。私、地獄に行きたくないよ。助けて……。」
女の子の目から涙が溢れてきた。
堰を切ったように泣き出した。
参ったなあ。
俺、女の子の涙には弱いんだよ。
何とかして、彼女を助けてあげたくなった。
「うわ、泣くなって。大丈夫。まだ君は死んでないんだろ?じゃあ手はある。
君を地獄になんか落とさせやしないから!!」
俺の言葉で、彼女は潤んだ眼で俺を見上げる。
まずいな、約束しちゃったよ。
「君の身体が、放っておいても死んでしまう状態なのは確実なんだね?」
女の子は頷いた。もうヤケだ。
とことんこの娘に付き合ってやろうじゃないか。
「わかった。じゃあ、君の入院している病院と、その病室を教えて欲しい。」
翌日、新聞でニュースを確認する。
心は痛む。
だが、これで彼女の自殺は未遂に終わったのだ。
「これで良いんだよな。」
俺が呟いたとき、
「——ありがとう。お兄ちゃん。」
彼女の声が、聞こえた気がした。
男の人が……