かなり昔のこと。
ある村落に若い夫婦が住んでいました。
夫は根っからの博徒でしたが、妻は人と争うことが嫌いな働き者でした。
夫はある時、博打で長い槍を手に入れました。
これはかつて有名な武人が使っていたという名槍らしく、
夫は家に帰ってからも上機嫌でこれを眺めておりました。
次の日の朝、夫が目を覚ましてふと槍を見ると、
柄が短くなって、その穂先(刃の部分)がなくなっていました。
夫は、すぐに妻の仕業だと気づきましたが、もう怒りませんでした。
それ以来、夫は博打をやめ、妻とずっと一緒です。