ある怪談

ちょっと聞いてくれ。

昨日、俺は友人にある怪談を聞いた。

怪談の怨念は聞いた者の夢に出てきて、その次の日に必ず何らかの形で死をもたらす、というよくある内容だった。

この手の話を何度も聞いた事のある俺は、全く信じることなくその友人に

『聞いたら死ぬんならその話広まらんだろ』

とふざけると、そいつも、

『だな~』

と、笑った。

友人と別れた帰りに、TSUT○YAでシリーズ物の洋画を全部借り、帰宅した。

少しの間は友人の話は気になっていたが、すぐに忘れていた。

借りた洋画を今日中に全部見たかったので、帰ってすぐに見始めた。

シリーズ最終章を手に取ったのは、24時前だったが明日休みだったので気にせず再生した。

しかし、案の定中盤で眠くなる。

睡魔に勝てない。

夢を見た。

あの怪談通りだ。

形容しがたい、『モノ』が俺を黒い大きな穴に引っ張り込もうとする。

穴に落ちた瞬間目が覚めた。

TVにはあの洋画のメニュー画面が。

頭のどこかで気にしていてあんな夢を見てしまったんだと、自分に言い聞かせた。

でも、ホントに今日死ぬかも、と思わせるほど嫌な夢だった。

一応気になった俺は今日は1日部屋で安全に過ごすことを決めた。

あいつに話したらビビリって言われるかも。

しかし、何も起きなかった。

体調も何一つ悪くない。

やっぱり思い過ごしだったんだ。

気にしすぎって恥ずかしいな。

で、今はこうして普通にいる。

んじゃ、もう寝るわ。

明日あいつにこの事を話そうと思う。

怖い話じゃないのにスマンな。

付き合ってくれてどうも。

「ある怪談」の解説・感想

  1. 友人に殺される。