本格的な温泉

今日風呂に入ろうとしたら本格的な温泉ぽい香りがしたので、

母に「入浴剤替えたの?」

と尋ねると、

「そ、そうなのよ、今日特売で安かったから」

というなんだかぎこちない返事が返ってきた。

しかしいざ入浴してみるとこれがなんとも気持ちがいい。

体の芯から温まる。本当に温泉に 浸かってるみたいだ。

こんなものが特売だったなんて。

しばらく温泉気分を楽しんだ後、おもむろにボディソープを手にとる。

・・・・・・・

手に違和感を覚えた。少しヒリヒリするような感じだ。

そしてなにか嗅ぎ覚えのある臭い・・・・

小学校のトイレ掃除の時間が何年もの時空を越えていきなり鮮明に一瞬頭に現れた。

それと同時に、なぜか小6の修学旅行のときに行った箱根の大涌谷の映像も頭をかすめた。

臭い、手の感覚、バスルームの中の空気、頭の思考回路・・・すべてが異様であった。

そしてふと後ろを振り向くと、モザイクドアガラスのはるか向こうに、

こちらをじっと伺うような黒いシルエットがゆらゆらと揺れているのであった。










意味がわかると怖い話
「本格的な温泉」
の解説・考察

imi
imi

なるほど…
こ、怖いですね…
語り手は無事なのでしょうか…
あなたは意味がわかりましたでしょうか?
それでは解説です。

お母さんのぎこちない返答というのも匂わせぶりですが、
「本当に温泉に浸かってるみたい」とのことなので、『温泉風の入浴剤』は入っているのでしょう。
そして「小学校のトイレ掃除の時間」ということから、『塩素系の洗剤』が混ぜられていて、硫化水素が発生しているので「箱根の大涌谷」が思い浮かんだと。。わかりやすい表現ですが。。

こちらをじっと伺うような黒いシルエットは、母であり、語り手が硫化水素で死んだかどうか様子を伺っているのだと思います。

実際にこんなことがあったら怖いですね。

普通
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「本格的な温泉」の解説・感想