町外れにある廃墟

小学生の頃、町外れにある廃墟へ行くと、

性格が真逆になるという噂があった。

俺はそういうオカルトに目がなかったので、

すぐに親友の横山英二をつれて、廃墟に向かった。

廃墟に着くと俺たちは一瞬息を飲んだ。

昼間だと言うのに異常なほど薄暗い…

ふと横山を見ると、ガクガク震えて

今にもちびりそうな顔をしていたので、

「なんだそのTシャツ、ダッセー!名字アピるなってw」

と横山を弄って落ち着かせようとした。

しかし横山は

「やっぱり帰ろうよ…ヤバイよ…」

と、すっかり引け腰モード。

仕方なく俺は、半ば強引に横山を引きずり込んで

中へ入って行った。

中へ入ると、思いの外、物はなく、

大きな鏡が一枚あるだけだった。

見たところ、何の変哲もない鏡…

拍子抜けした俺は、横山の後ろに回り込み「ワッ!」と驚かした。

すると、横山は大きく後ろに飛び、そのまま鏡にぶつかった。

その時、一瞬光ったように見えたが、大して横山に影響はなかった。

帰り道、

「所詮、噂なんてこんなもんか…」

などと愚痴をこぼしているとクラスメイトの大倉和志と遭遇した。

大倉は、噂を信じて廃墟に行った俺たちを馬鹿にして、

ついでに横山のイニシャルTシャツも馬鹿にした。

馬鹿にされた事がよほど悔しかったのか、

横山は大倉を思いっきり殴って、唾を吐いた。

「町外れにある廃墟」の解説・感想