べ~ちゃん

A子「あんた!ネットで知り合った『ベ~ちゃん』とかいう女と浮気してるでしょ!携帯見たのよ。今日、会うんでしょ!」

男B「バレてたのかよ。ああそうだよ。でもな、彼女の方が本命、お前とは遊びなんだよ。俺には女の絶対条件があるんだよ。清楚で、声が綺麗で、知的で…。それに、音楽の趣味が合う人。俺がストリートミュージシャンやってたって言ったら、彼女も5年くらい前まで路上ライブやってたって。昔の歌手の知識も豊富で、俺の知らないことを教えてくれるんだ。」

A子「その女、何歳なの?」

男B「2度目の28歳とか言ってたから、29歳だな。毎月ちゃんと収入があるって言ってたから、今はOLだ。もちろん、独身で子供もいない。彼氏いない暦が10年以上で、好きな人もいないらしいんだ。」

A子「それ本当なの?だいたいさ、『ベ~ちゃん』って何?」

男B「今はやりのキラキラネームさ。『ベージュちゃん』略して『ベ~ちゃん』だよ。親の好きな色がベージュなんじゃないか?俺もベージュ大好きだから、これも奇跡の一致なんだよ。それから、俺、眼鏡っ子フェチだろ?彼女、眼鏡をかけると目が大きくなって凄っごい可愛いって言われるらしいんだ。もう、何から何まで理想的で、まさに運命の女なんだよ。」

A子「でも、LINEや電話だけで、直接会ったこと無いんでしょ?」

男B「だから、今日、初めて会うんだよ。もし、本当に俺の理想の女だったら、結婚を前提に付き合ってくださいって告るつもりさ。」

A子「なによ!私との関係はどうなるのよ!嫌だ!絶対に行かせない!絶対に行かせない!」

男B「お前と結婚するとか言ったこと無いだろ!おい、放せよ!放せってば!うっとうしいんだよ、お前はよ!放せっ!!」

A子「きゃ~!」(どんっ!ごんっ!!)

男B「あっ、A子!A子…。…やばい、死んでる…。急いで逃げなきゃ。…いや、ダメだ。逃げても捕まる。自首するしかないか…。でも、その前に、ベ~ちゃんに、今日は会えないって伝えなきゃ…。」

男B「(ポチッ)もしもし、ベ~ちゃん?ごめん。今日、会えなくなった。急な仕事で海外に行かなきゃいけなくなってさ。10年以上は帰って来れないんだ…。…、ねぇ、ベ~ちゃん、俺のこと待っててくれる?」

女性「はいっ、ずっとお待ちしてます。」

彼女が待っててくれるなら、何があっても耐えられる…。

男Bは、覚悟を決めて、自首するために110番に電話した。

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