寝室

『あ!それだめよ。
さわったら。
わかった??』

私の子供が
寝室のベッドの下にある袋に触った。

一歳半だから
好奇心旺盛なのかもしれないが…。

私はそのことだけが許せなかった。

例え誰だとしても。

あの事があってからずっと。

『はーい
ゆかちゃん。
ごはんできたよー!』

…あれ??

ゆかの声がしない。

どこいったんだろ。

あ、もしかして寝室…

あ!ドア開けっ放しだったー。

『ゆーかーちゃんッ!
だめっていったばっかりでしょ??
言うこと聞かなきゃだめじゃない』

それでも
話を聞こうとせず
袋に真剣になっている。

『はーい
あっちいくからねー』

私はゆかを抱きかかえ
寝室をあとにした。

ちゃんとドアも閉めて…。

ー五年後ー

『ゆか!
とうとう一年生だね☆
おめでとう!』

『うん!
ママありがとぉ!!』

『お友だちできるといいね!』

『うん!』

ゆかのクラスには幼稚園からの
仲のいい友達三人がいて安心した。

そしてその夜。

幼稚園からの友達である
三人のお母さんと友達を家に招待し、
入学祝いをした

みんなー??おめでとー!

あーりーがーとー!

賑やかなままお祝い会は進んでいった。

それから
一時間ほどした頃。

((きゃー)))

悲鳴が聞こえてきた。

友達のお母さんには私がいくからと説得をし
一人で”寝室”へ向かった。

『べ…ベッドの下から
人の顔がこっち見てるんだよー涙』

叫んでいたのはゆかだった。

ついに見られたか…。

もうおしまいだな。

今からさかのぼること七年前。

ゆかが生まれる前。

お腹のなかにもいない頃。

私たちは夫婦ケンカをした。

それはそれは
大変なケンカで警察を呼ぼうか
呼ばないか悩むほどだった。

そして私は寝た夫を
果物ナイフで刺したのである。

そう。

ゆかが見たのは夫の遺体。

見られたならもうしょうがない

お前もやってやる。

どうしようかな。


もうベッドの下は使われちゃってるし。

どこに片付けるか。

「寝室」の解説・感想