私はここに越してきてから、
ずっと一人だった。
「あんたは苦労性だから、一人は気楽じゃないの?」
といわれても寂しい。
今日もビーフシチューを作ったが多めに作りすぎた、
一人なのに。
そんな中、
アパートの窓から下を見ると
雨の中電柱の影でじっとしている人がいた
どうやら私が来る前に
引っ越してしまった人の部屋を見ているらしい。
「あの・・」
傘をさす
「其処にはもう誰もいませんが」
「どこへ?」
「来たばかりで私にも」
そんな会話を交わして、
その人にシチューを食べてもらった。
その日から彼が会いに来てくれるようになり
いつの間にか同棲生活になった。
そして結婚することになり、
二人で結婚式場に打ち合わせに行ったのだが
事件が起こった。
私たちを担当するはずだったウェディングプランナーの人が
私たちを見た途端悲鳴を上げて、
屋上から飛び降りてしまったのだ。
何故だろう?
縁起が悪かったので
別の結婚式場で無事に式を挙げて今では幸せだ。
この人にあえて本当に良かった。