殺虫スプレー

A君(7)が学校から帰宅して、

まず最初にやることは寝たきりの祖父への挨拶だった。


その日もいつものように祖父の部屋へ行くと、

祖父の顔に黒い粒みたいなものが…


近づいてみると、それはハエだった。


A君はとっさに側にあった殺虫スプレーを祖父の顔めがけて吹きかけた。


すると母親がすっ飛んできて、A君を怒鳴りつけ、すぐに救急車を呼んだ。


残念ながら、祖父は帰らぬ人となってしまった。


死因はA君の行動によるものと判断されたが

幼い子供とあって、穏便に済まされた。


母親と一緒に警察署を出るとA君が泣きながら言った。

「おじいちゃんの顔に何匹もハエが止まってたから、


 僕、頑張っていっぱい吹きかけたんだ…」

「殺虫スプレー」の解説・感想