伝言

ジョンは、病気で入院している友人のハリスのお見舞いに行った。

「ハリス、どうなんだ?具合のほうは」

「う…。ぐ…」

体中のあちこちにチューブでつながれたハリスは、満足にしゃべることもできなかった。

「気の毒になぁ…。おい、息子さんに何か伝えたいことがあったら、この紙に書いてくれ。俺がちゃんと持っていくからな」

「ぐぅ!!!」

「どうした!ハリス!どうした!」

彼は急いで走り書きしたかと思うと、急にがっくりし、そのまま帰らぬ人となってしまった。

――お通夜の日、ジョンはハリスの息子に会った。

「ハリスは死ぬ直前にこれを残した。よっぽどあんたに伝えたかったらしい」

「え…。これが僕への伝言ですか」

その紙にはこう書いてあった。

『酸素チューブから足をどけろ』

「伝言」の解説・感想