名札

私(名字は福井)と友人のサッちゃん(名字は石川)は、
下校中にある老人に声をかけられた。

「これは、今いる同じ学校の子と入れ替わることのできる名札だよ。
入れ替われる時間は1時間。試してみる?」

私達が欲しいと言うと、
その老人は名札を私達にくれた。

「名前が書いていないだけで、
まんまうちの学校の名札じゃん。」

ちょっと疑いつつも、
とりあえずサッちゃんと遊ぶ約束をして、
一旦帰宅。

その後、サッちゃんの家へ行き、
先程の名札で本当に誰かと入れ替われるのか試すことにした。

私は、事前にウチに居る弟にこのことを伝え、
弟に入れ替わることに関して了承を得ておいた。

「あたしは、2組の大川くんと入れ替わってみる♪」

サッちゃんは、そう言った。

では、まずは私から。

名札を着け、目を閉じ、
私の弟と入れ替わりたいと言ったら・・・

眩しい光が差し込み、
光が消えると、
私は確かに弟の姿になっていた。

「本当に弟と入れ替わったよ…。
名札も弟の学年の色になって、
福井って名字も書かれてるし。」

続いてサッちゃんも試してみた。

すると、
光が消えたあとに現れたのは、
2組の大川くんだった。

私達同じ学年の色の名札に、
大川の名字が書かれている。

だが、服はびしょ濡れな上に、
頭には変なゴミがついている始末。

「なんか大川くんの格好変じゃない?」

そう思いつつも、
とりあえず1時間待つことに。

1時間後、
私は元の私の姿に戻れたのだが…

サッちゃんはなぜか1時間経っても
大川くんの姿のままだった。

私は気づいた…

「サッちゃんは元に戻れないかも。
あと、サッちゃんの身体は今頃…」

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