超能力

A君はちょっとした超能力の持ち主だ。

彼が「メロン」と書いた紙を舐めると、
口の中にメロンの味と香り、食感が広がる。

「イチゴ」でも「ドーナツ」でも同じ。

いつでもどこでも、
好きなものが味わえる。

お腹がふくれる訳じゃないから、
授業中の密かな楽しみっていう程度の超能力。

大嫌いな算数の授業中に、
大好きな食べ物を楽しめるんだから、
彼もこの能力が気に入っているようだ。

ある日のこと、A君は転た寝をした。

大嫌いな算数の宿題と格闘中のことだ。

宿題は問題集の34ページから35ページ。

A君は34ページの2問めでノックアウトされ、
問題集を閉じて、その上に突っ伏してしまった。

罰が当たったんだろうね。

A君は寝ぼけて問題集の表紙を舐めてしまった。

彼は突然の痛みで眼をさまし、
大声をあげて転げ回り七転八倒。

口から血を、
目からは涙を流しながら宿題を再開する羽目に。。。

「超能力」の解説・感想