錆びない体

「錆びない体」は女性の憧れ、
有る研究をしている化学者の下に一人の女優が訪れた。

白衣の男が出迎える

「これはこれは、お待ちしておりました」
「挨拶はいいから例の物を頂戴!」

白衣の男は小瓶に入った一つのカプセルを手渡した。

「これで錆びない身体になれますよ」
「本当ね!」

彼女の必死な形相に反して
男は冷静な表情でこう聞き返した。

「本当にいいんですね、錆びない身体で」
「当たり前でしょ!」

帰る女優を見て男は終始無表情だった。

翌日、自宅で女優が死んでいるのが発見された。

「殺しか!?」
「それがおかしいんですよ」

「なにが?」
「変死としか言い様がないんです、
体中の酸素が不足しているどころか全くないんです、
しかも静脈はともかく動脈の血も黒く変色しているんです」

ニュースを見た化学者は言った

「人には錆びてなければいけないところもあるんですよ」

「錆びない体」の解説・感想