人がいなくなる神社

人がいなくなるという噂のある神社が近くにあると聞いて、

俺と友人は早速出かけてみることにした。

木々の生い茂る山道を抜け、

角度の急な石段を登ると少し開けた場所に出た。

どうやらここが噂の神社らしい。

ところが、俺と友人は早速拍子抜けしてしまった。

なぜなら髪の薄くなったおじさんが

普通に境内の掃除をしていたからだ。

だけど、ここでなにもせずに帰るのもなんだか悔しいので、

その人に話を聞いてみた。

その人はどうやらここの神主さんらしく、

「人が消える」というような物騒な噂は聞いたことがない、

ということだった。

結局無駄足かぁと思いつつ、神社を後にする俺たち。

その帰り道で、

落ち込んでいる俺を励まそうと思ったのか友人がこういった。

「神主さんを思い出してみろよ。噂は本当だったんだ」

それを聞いて俺は思わず笑ってしまった。

神主さんの目の前ではとてもいえないような冗談だったが、

少し残念な気持ちを吹き飛ばすのには十分だった。

後日、鏡を見るまでは。

「人がいなくなる神社」の解説・感想