サイドミラー

昨年の初夏の頃に体験した話。

主人のバイクに二人乗りしてドライブへ出かけた。

山頂の大きなダムを過ぎ、トンネルへ入った。

割と長い距離で、出口は見えない。

なんとなく、左のサイドミラーを覗き込んだ。

そこには、少し青白い顔のやつれたおばさんの顔がうつっている。

あぁ私もずいぶん老けたものだ。

結婚してもう10年になるのだし。

それにしても、顔色が悪い。

最近仕事が忙しかったからなぁ。

そんな風に考えていた。

トンネルを過ぎ、信号で止まった。

それにしても。

やつれた自分の顔がちょっと気になる。

もう一度左のサイドミラーを覗いてみた。

左肩がうつっている。

あれ?

少しかがんで、顔がうつるように覗いてみた。

そこにはフルフェイスの白いヘルメットがうつっていた。

「サイドミラー」の解説・感想