親友と二人でサーフィン

私はこの港町の治安を守る警察官だ。

今日は休日。

そこでガキの頃からの親友と
二人でサーフィンに行くことになっていた。

私の親友は私とは違いとてつもなく優秀で、
今では会社を2~3個経営し、
どこぞの有名モデルの奥さんまでもらったすごいヤツだ。

だが、家にサウナやらプールやらなんでもあるにもかかわらず、

「波と魚だけは俺の自由にならない。だから良いんだ。」

なんて言って、
休日のたびにこの街の海でサーフィンや釣りを楽しむ
変わり者でもあった。

私は車を運転できないため、
いつも親友に送ってもらうのだが、
どうやらコイツ、サーフィンのためにわざわざ新車を買ったらしい。

車内にはツンと来るほどの新車の匂いが満ち溢れていた。

そんなこんなでビーチに着く頃にはちょうど暗がりが消え、
まさに朝!といった頃合いになっていた。

私と親友はボードを片手に海へと駆け出して行った。

そして夢中になって波に挑み、
気がつけばあっという間に夕暮れ時を迎えていた。

体中が日焼けし、痛いのなんの!

けれども、実に楽しかった。

もちろん今日という日のシメは焼肉だ!

親友が運転で飲めない以上、
ジンジャーエールで乾杯というのがちょっとワビシイが・・・。

まぁ仕方ない。

そんなこんなで海を満喫した俺達は、
またの再会を約束して帰路に着いた。


~翌日~

昨日の今日で実に悲しい事故が起きてしまった。

親友の奥さんが自室のサウナで
熱中症で倒れて死んでしまったらしい・・・。

死亡推定時刻はお昼すぎくらいらしいので、
俺達がサーフィンを楽しんでいるその最中奥さんは死んでいたということだ。

青天の霹靂とはまさにこの事。

きっと、アイツも相当ショックを受けているに違いない。

俺が行っても気休めにしかならないだろうが、
行かないよりマシだ。

俺は早速部下に頼んで、
弔いのための花を買い揃えて来てもらった。

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