おとーさんやぎとおかーさんやぎは出掛ける前に僕達にこう言った。
「必ずドアには鍵をかけて、誰がきてもドアは開けてはいけないよ。オオカミかもしれないからね」
僕たちは約束通り、ドアに鍵をかけた。
すると、コンコンとドアを叩く音がした。
一匹の子やぎが言う。
「開けちゃダメだよ!きっとオオカミだ!みんな隠れるんだ!」
僕達は、家の中を散り散りに隠れる事にした。
その子やぎの言葉通りドアの外には、親やぎが出て行くのを見ていたオオカミがヨダレを垂らしてたっていたのだ。
僕達は、一匹は暖炉の中へ。
一匹は洗濯機の中。
一匹は台所のナベの中。
冷蔵庫の中、お風呂の中、ソファの下と、それぞれに隠れて身を潜めた。
ただ一匹、僕だけは隠れ場所が見つけられず、テーブルの上の果物ナイフを握りしめイスの影に隠れた。
その頃、なかなかドアが開かない事にしびれを切らしたオオカミは、他に入れるところがないか、家の周りを周っていた。
すると、窓が一つ開いているではないか!
オオカミは舌舐めずりをして部屋に忍び込んだ。
ところが部屋はシンと静まり返っている。
隠れているんだ、と思ったオオカミは部屋中を探し回った。
部屋に入ってすぐ、オオカミは僕を見つけニヤリとしたかと思うと、僕の脚を掴んだままソファに座り、僕は驚くほど簡単にペロリと一飲みにされてしまった。
その後もまだまだ満たされなかったオオカミはひとしきり探すも諦めたのか、部屋を後にした。
出て行ったオオカミはしばらくしてお腹に異変を感じた。
その夜、僕と親やぎたちが言う。
「オオカミはもういなくなったよ!」
更にしばらくして僕は言った。
「みんな、まだ隠れてるの?早く出ておいでよ」
すいません一人は冷蔵庫、もう一人は食べられました。