忠告

私には昔からの親友がいた

彼女とはいつも一緒にいてよく恋の相談なんかをもちかけたりもした

しかし高校生になって彼女がイジメられるようになり
私は怖くなって申し訳なく思いながら彼女を無視するようになった

彼女はきっと私を恨んでいるに違いない

たまに人間とは思えない目で睨み付けてくる

大学はできるだけ彼女から離れる学校を受験し
ようやく彼女を目にしなくていいようになった


何年かすぎて私には女としての幸せ、
つまり結婚することが決まった

彼は私の中で完璧な人でした

しかし彼と同棲するようになってから、
毎日ポストに

「結婚はするな!」

という宛名もない手紙が送られてきた

いちおう彼にも相談してはみたが

「どうせ誰かのイタズラ」

と流され、
私も幸せボケもあってあまり気にしないでいました

それでも毎日くる嫌がらせに
私は親友の姿を重ねずにはいられなかった


そして結婚当日。
私は多少の不安もあったが式は順調に進み
結局何もなく無事に終わった

いちおう親友にも知らせはしましたが
さすがに出席はしていなかった

安心と不安とが混じったまま、
一段落ついて彼と近くのホテルに入ってくつろいでいた

「結婚しちゃったね。私たち」

彼は私の隣に座ってため息をつくと
ニタっと笑っていつもとは違う声で言いました


「あれだけ忠告したのに……」

「忠告」の解説・感想