何か言ったか?

夜、友人が突然うちを尋ねてきた。

様子がおかしい。

目は虚ろで、手にはナイフを持っている。

そしてうつむき加減でブツブツと何かを言っている。

「ごめん、ごめん……」

「ど、どうしたんだよ!?」

「金が、必要で、どうしても……」

「お、落ち着けよ!」

「もしも、金のために友達を殺しても、神様は俺を許してくれるよな……」

「そんなわけないだろ!どんな理由でも、人を殺したら神様は許してくれねえよ!」

「……うん、うん、そうだな。きっとそうだよな。」

「そうだよ!金のために人を殺しても、幸せにはなれねえよ。」

「やってみよう。勇気を出して。」

「よかった!分かってくれたんだな!」

「ああ、神様……ありがとう!俺に一歩を踏み出す勇気をくれて!」

「俺で良かったら力になるよ。なあ、まず何があったのか話してくれよ。」

俺はそう言って、友人の肩を叩いた。

すると友人は、ハッとした様子で俺の顔を見て、言った

「……何か言ったか?」

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