通勤途中に踏切がある。
この踏切は特急列車が通過するのだが、
人身事故や、車が侵入する電車との衝突事故等が後を絶たないという。これまでに人身事故や、
事故で亡くなった人数分の花が、
踏切の傍らに手向けられていた。その踏切を毎日越えなければならないことに、
俺は憂鬱を感じていた。ある日、仕事が終わらず
帰宅が深夜まで長引いてしまった。普段は夜の8時には仕事が終わり、
比較的明るい道路もこの日は薄暗く、
少し気味が悪かった。例の踏切で、
信号待ちに捕まった。『かんかんかんかん…』
踏切特有の警戒音が規則的に鳴り響く。
俺の運転する車の前には、
先を走っていた車が停車していた。『かんかんかんかん…』
突然、
前に止まっていた車が
ゆっくりと動き出した。俺は焦った。
しかし、前の車は止まることをせず、
ゆっくり動き出し、
ついには踏切の遮断機を押し退けて
線路内へと入っていってしまったのだ。俺は助けに行くことも出来ず、
クラクションだけを鳴らし続けた。が、それも虚しく、
前の車は警笛を鳴らし続ける右からやってきた特急列車と衝突し、
そのまま数十メートル押され、そこで列車は停車した。けたたましい衝突音と、
ステンレスの破壊される音が耳に残る。辺りからは人だかりが増えてきており、
野次馬が出来上がっていた。しばらくして警察がやってきた。
事故当時の状況を俺に聞いてきた。
状況を説明し終え、
帰宅の許可が出たので、
俺はそのまま自宅へ向け車を走らせた。先程の光景が脳裏に浮かぶ。
あ………
俺は、
赤い2つのランプが点灯し続けていたことを、
思い出した。