夏の終わりの夕暮れ時。
私は一人、
家路を歩いていた。近所でも交通量が多いことで有名な大通り、
その歩道橋を昇る。と、
その中程に背の高い男性が組んだ腕を手摺りに乗せて、
橋の下を覗き込んでいた。男性は私に気付くと、
じっとこちらを見つめてきた。その視線には、
『邪魔をするな』
と言わんばかりのあからさまな敵意が含まれている。なぜ初対面の相手にそんな態度を取られなければならないんだ、
と気分を害されながらも、
顔を伏せ、目を背けて、
その人の横を通り過ぎた。『ぐしゃっ』
直後、
歩道橋下から何かが潰れるような音が聞こえ、
悲鳴が轟いた。咄嗟に振り向くと、
そこに先の人物の姿は無い。残っていたのは、
綺麗に揃えて置かれたヒールだけだった。
自殺をしようとしていたんだね