デブな私

芸能界でデビューが決まった妹は、なにもかもが順調に進んでいた。

「私も芸能人になれるんだから、おねぇちゃんももっと痩せたらデビュー出来るかもよ!健康のためにも痩せてね!」

妹は太り気味の私をいつもからかう。

ところが先日、妹の娘が公園で遊んでくると言ったきり行方不明になってしまったそうだ。

芸能事務所にも連絡し、隣町まで隈無く探したが、見つからなかった。

妹はシングルマザーで、肉親が私と娘だけだったので深く悲しんだ。

本当に気の毒だった。

それから半年。

妹は頻繁にテレビにでるようになった。

仕事は楽しいらしい。

妹の出ているテレビを見終わると、急に眠気が襲って来た。

体調も悪かった私は早めに床に就いた。

そしていつもと同じ夢を見る。

妹の娘が私に話しかけるのだ。

「お母さんのために、もう太らないでね」

実に変な夢だ。

そんなに私はデブだろうか…。

私は部屋の床拭き掃除でダイエットを始めた。

地味だが、非常に効果がある。

今度の日曜日は妹のアパートの掃除をしてやる。

妹は部屋の片付けが昔から苦手だ。

日曜日に妹の部屋に来た。

全然帰って来ていないのか、部屋は異常に汚なく、異臭を放っている。

掃除のし甲斐がある。

風呂場に行くと、毛布でぐるぐる巻にされた箱のようなものを見つけた。

毛布を剥ぎ取ってみると衣装ケースだ。

中にはまた毛布がぐるぐる巻になって詰まっている。

全てを悟り、私は急いで部屋を後にした。

「デブな私」の解説・感想

  1. 本当に簡単だけどやばいぜ