お団子恐い

私は幼稚園の先生だ。

今日も可愛い子どもたちは元気だ。

「はーい、それじゃ〜あ、みんなの、好きなものはなんですかぁ!?」

お決まりとも言える質問に、

にゃんこー!わんこー!お菓子ー!

などなど、元気な返事が返ってくる。

うん、やっぱり可愛い☆

「それじゃ〜あ、みんなの、恐いものはなんですかぁ!?」

ちょこっと変化球♪

それに対してもやはり、

犬ぅ…オバケ〜!爆弾!

と、元気な返事が返ってくる。

そんな中

お団子…

という、小さな声が聞こえた。

そう答えたのは、クラスの中でも大人しく、身体も小さい加絵ちゃんだ。

「なんでお団子恐いの?」

気になったので聞いてみる。

「お母さんがね、『にゃーちゃんが作ってくれたんだから、食べなさい』ってくれるんだけどね、すごーく不味いしの。でも、食べなきゃ怒られちゃうの」

数日後、加絵ちゃんは児童相談所に保護された。

『にゃーちゃん』は猫のこと。

なので、
「にゃーちゃんが作ってくれたお団子」
というのは、
「猫砂で固められた排泄物」
のこと。

つまり、加絵ちゃんは
母親から虐待を受けている。

仮に『にゃーちゃん』が人だとしても
泥団子だろうから、
それを強制的に食べさせる時点で虐待である。

加絵ちゃんがきちんと保護されてよかった…

「お団子恐い」の解説・感想