火星人が攻めてきた

わたしが仕事から帰ってくると、
妻が玄関の前でわたしを待っていた。
またか。ひどく憂鬱になる。

「あなた、お帰りなさい。家に入ってはダメよ」

「なぜ?」
「火星人が家に攻めてきたの。今ジョンが戦っているわ。
でもさっき鳴き声がしたきり」

わたしは玄関先で穏やかに妻をなだめると、家に入った。

当然火星人などいない。妻は泣き喚く。

「ああ、ジョン。あなた、ジョンが死んでしまったわ。
私たちを守ってくれたのね」

「そうだね。ジョンは庭に埋めてあげよう」

わたしは「ジョン」を庭に埋める。

愛する妻を守るためとはいえ、

何人こうして埋めなければならないのだろうか。

「火星人が攻めてきた」の解説・感想

  1. 妻が殺し、語り手は守る為、埋めている。

    • こんなんだったけ〜?