記憶喪失

目が覚めると、俺は病院のベッドに寝転んでいた。

辺りを見渡していると、ドアから人が入ってきた。

俺は驚いた。

「A君! 気がついたのね!?」

女は俺に駆け寄り、ことの次第を話した。

彼女はBと名乗り、俺は交通事故に遭ってずっと意識不明だったという。

すぐに医者が俺を診てくれた。

呆然としている俺を見て「ショックによる記憶喪失」だと下した。

Bは涙を流した。

俺と彼女は付き合っていて、すごく心配したと泣いている。

事故の日、俺とBはケンカをして俺が家を飛び出したところ事故にあったという。

近隣の住民も怒声を聞いていて、心配していたらしい。

Bが笑いながら「栄養とらなきゃね。果物ナイフとって」と言う。

果物の盛り合わせとナイフに目を向け、
俺がナイフそれを握ったときにドアが音を響かせて開いた。

「警察の者です。Bさんですね?あなたを殺人未遂の容疑で逮捕します」

数人の男のうちの1人が令状の紙を出して、Bの腕をつかんだ。

Bはすがるように俺を見たが、あっけなく連れて行かれた。

俺は果物ナイフを置いた。

後日、新聞には真相が記されていた。

Bは俺と付き合っていたが、浮気を見つけられて俺に別れを告げられた。

Bは嫌がったが俺は一方的に別れを突きつけて家を後にした。

Bは俺を追い、そして車道に出たところでBは俺を後ろから突き飛ばした。

近所の人がそれを見ていたが、Bの形相に恐怖を感じて今まで言い出せなかったらしい。

俺はそばにある果物とナイフを見た。

ナイフを握り、誰にも聞こえないよう呟いた。

「なんで余計なことするかなあ……」

「記憶喪失」の解説・感想