私はあるカウンセラー

私はあるカウンセラー。

私の部屋には様々な人がカウンセリングに来る。

今日も患者がやってきたみたいだ。

コンコンとノックの音がした。

私がどうぞと答えると、その男は入ってきた。

「こんにちは、よろしく。」

「こんにちは。あの、カウンセリングの先生を紹介されるのはここで5件目なんですが・・・どの先生もお手上げ状態で・・・」

「ハハハ、いいですよ、なぜか皆最後には私を紹介するんです。もう慣れましたよ。スミマセンが、早速話を伺ってもいいでしょうか?」

「ハイ、まずはこれを見てください」

すると彼は上着を脱ぎ胸を見せた。

「ん?手形ですか?」

「そうなんです、胸だけじゃなくて体中にあるんです。」

「これがどうしたんですか?」

「このあざが一日に一個ずつ増えているんです」

「で、その原因を知りたいということですか?」

「そういうことです。もうこのあざを見るたびに怖くなって」

「誰か、あなたが寝ている間にあなたの知人か友人かがいたずらで付けてるんじゃないですか?」

「そんなことはありません。なぜなら・・・」

「なぜなら?」

「私には友人や知人が一人も居ないからです。
今も一人で家に引きこもっているんです。」

「それじゃあ、無意識のうちに自分が付けているっていうことはないんですか?」

「それは無いと思います。そう思って実験したんですよ」

「どういった実験を?」

「まず寝る前に、部屋の鍵を閉めて、手を後ろにして、とても硬く縛ってもらいそのまま寝たんですが、翌朝やはりあざが増えていたんです」

私はあることに気づいてしまった。

「私はあるカウンセラー」の解説・感想