缶ビール

平日の昼間っから近所の公園のベンチで缶ビールを飲む。

これが俺の密かな楽しみだ。

毎日しっかり働いてる自分へのご褒美。

たまに休みを取って
太陽の下で飲むビールは最高だ。

んっ?

10歳くらいの女の子が近づいて来た。

喉が渇いてんじゃないか?

俺はリュックの中からペットボトルのお茶を取り出し、
彼女に差し出した。

が、彼女は首を振った。

まさか…と思いつつ、
ビールを指差した。

彼女はこくんと頷いた。

おいおい、子供がビールかよ。

世も末だ…。

俺は彼女を追い払った。

それにしても良い天気だ。

風も心地良い。

ぷっは~。

俺はビールを飲み干し缶を置き、
リュックの中から弁当を取り出そうとした瞬間…。

ふと人の気配を感じて振り向くと、
さっきの女の子が缶を持って走り去って行った。

世も末だ…。

「缶ビール」の解説・感想