ギターコード

俺の親友が死んだ。

彼は部屋でギターを抱えたまま、ギターのケーブルで首を吊っていた。

その傍には「俺は死にたい」と何回も書かれたメモが置いてあった。

「ああ、やっぱりか」と俺は思った。

彼は誰よりもネガティブな歌詞を書いて、それを歌っていた。

俺は彼の歌が好きだったが、他の連中は彼をあまりいい目で見ていなかった。

音楽サークルの中で彼はかなり浮いた存在で、人間関係でうまくいってなかったと思う。

当然、警察は自殺として処理をした。

それからしばらく経って、彼の49日にサークルの一部の人で歌を送ろうという話になった。

俺は彼の遺書に対するアンサーソングを作ろうと思った。

俺は親友をなくしてから空虚な毎日を送っていた。

そのせいか、気付いてみれば「俺も死にたい」とばかりノートに書き連ねていた。

彼が最後に押さえていたコードは何だっけ?

あの手の形は…ConGか。

今思えば、あれは遺書ではなく歌詞だったのかもしれない。

俺はそんなことを考えつつ、コードに合わせて歌ってみた。

その瞬間、俺は殺された。

「ギターコード」の解説・感想