おそろい

中学校の頃、おそろいにすることが好きな友達がいた。
文房具、洋服はもちろん、

その子はなんでも私とおそろいにしたがった。

「全部おそろいにできたら嬉しいかも」

なんて笑いながら言っていた。

私は幼くして両親を亡くし、親戚の家で世話になっている。

そのことがコンプレックスだった。

だから、両親ともに健在で、

なんでも買ってもらえるその子が妬ましいし、悔しかった。

おそろいが嬉しくないと言ったら嘘になる。

その子のことは嫌いではなかったし、むしろ仲が良かった。

今でもその子とは手紙でやり取りをするくらいだ。

ある日、彼女は学校を休んだ。

珍しい、と思った。

放課後、家に帰っても誰もいない。

それはいつも同じ。

さみしいけど、困らせるのは好きじゃない。

夜になっても帰ってこない。

今日は仕事が長引いているんだなぁ。

突然電話が鳴った。

彼女からだった。

「もしもし」

と言ったきり彼女は無言。

変だな?と思っていると、

彼女が一言だけポツリとつぶやいた。

「全部おそろいになったね」

「おそろい」の解説・感想

  1. え?

    • おいおいおい両親をoろすわけないよね。