気球

みるみるうちに、眼下の大地が離れていく。

地上で見上げる人々が、皆こちらを指差して何かを叫んでいるようだ。

バーナーの炎はその勢いを衰えさせる気配無く、ゴウゴウと燃え続けている。

雲間に顔を出す太陽が、容赦無く僕の肌を焼いていく。

吹き付ける冷たい突風が、気球を、僕の身体を、弄ぶ。

……そろそろ限界だな……

僕は静かに脱力した。

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